Amazon JBPとは何か|7年運用した担当者が実態を解説

Amazon JBPとは何か EC・DtoC実務ノウハウ
Amazon JBPとは何か

Amazon JBPの担当になったのは、自分から手を挙げたわけじゃありません。

気づいたら「営業がAmazonやってたけど、よくわからなくて困ってる。担当引き継いでもらって良い?」という話になっていて、引き継ぎ資料を渡されて、気づいたらJBPの定例ミーティングに出席していた。そんな始まり。

それから1社目・2社目合わせて7年。JBPを回し続けて分かったことを、ここに書いておきます。ネット上にまともな情報がないので。


Amazon JBPって何?

JBP(Joint Business Plan)は、AmazonとメーカーがAmazonでの販売拡大に向けて共同で事業計画を作り、両社で目標を持って動く仕組みです。

通常のAmazon出品と何が違うかというと、Amazonから専任の担当者がつく点です。ケース(サポートへの問い合わせチケットのこと)を投げて待つのではなく、担当者に直接相談できる。これだけで全然違います。

Amazonには大きく2つの販売形態があります。ベンダーセントラルはメーカーがAmazonに商品を卸してAmazonが売るスタイル。セラーセントラルはメーカーや個人が直接ユーザーに売るスタイル。JBPは基本的にベンダーセントラルで動いているメーカー向けのプログラムです。


JBPに参加するとどう変わるか

①窓口が人間になる

通常のベンダーセントラルにもバイヤーはつきます。でもひとりで数十社〜100社を担当しているので、優先してサポートしてもらえることはほぼない。

JBP契約すると、バイヤー+営業担当+専任の広告担当者、という体制になります。定期的なミーティングで販売状況を共有して、施策の相談ができる。ケース経由でやり取りしていた頃とは、関係性がまるで違います。

ちなみに、ケースって3日で自動クローズされるんですよ。調べてる間に消えるやつ。あれを初めてやられたとき、本当に心が折れた。そういうストレスが減るだけでも、JBPに入る価値はあります。

②使える販促メニューが増える(Amazonバランス)

JBP参加企業には、通常では使えない広告・販促メニューが開放されます。Amazonバランス(Amazon内のプロモーション予算のこと)を使った施策もそのひとつで、レビュー施策や専用広告なども動かせるようになります。

ぼくのAmazon広告の引き出しが増えたのは、正直ここの環境のおかげです。7年間いろんな施策を試し続けたから、打ち手の幅が広がった。独学だけではここまでできなかったと思っています。

Amazonバランスは世の中でいうポイントバックみたいなものです。売り上げに応じて一定の割合でAmazon側から付与されます。ただ、いくら分あるかはベンダーセントラルではわからない・・・なんとも使いにくい仕組みといえます。上手にAmazon営業担当者と定例で確認しながら進めると良いです。

Amazonバランスを使用して効果的だったのはVineプログラムの実施、クーポン施策です。Vineは信頼性の高いレビュアーに無償で商品を提供してレビューを書いてもらう仕組みです。通常、Vineプログラムは1品番ごとに十万円以上料金がかかります。また、対象商品の仕切単価もメーカー負担です。新商品立ち上げ時にこのプログラムを使用することで、垂直立ち上げができます。Amazonはレビューが平均3.9以上でないと検索アルゴリズムで優位に働かないので、Vineプログラムは価値があります。

また、クーポンプログラムはビッグDEAL(プライムデー、プライム感謝祭、ブラックフライデー、新生活セールなど)で重要ですよね。スポンサード広告とクーポンプログラムの組み合わせは勝ち筋ですからね。ただ、クーポン施策の費用を全額バランスで相殺することはできないです。幾らかの割合を使用することができます。

③データが増える(IDQなど)

JBP経由で、通常の管理画面では見られないデータを提供してもらえます。IDQ(Item Data Quality)という商品ページの品質スコアや、カテゴリー内のシェアデータなどです。

IDQは商品ページのランクをAからFまでで評価したシートです。営業担当かバイヤーのどちらかが出せますが、出すには結構大変な作業らしく、私は3ヶ月に1回出してもらってました。商品画像の大きさ、サブ画像の数、Aプラスの有無といった項目にチェックがついて、SKU別に評価される仕組みです。

どこが弱いかAからFで見えるようになります。「なんとなくページが弱い気がする」じゃなくて、「このSKUの何が足を引っ張っている」と特定できる。ファンダメンタル(商品ページの基礎品質のこと)の改善に、このデータは本当に役立ちました。


7年やって思う、JBPの正直な話

毎年、「来年はJBPやめようか」という会話をしていました。

費用が年間数千万円かかるんですよ。売り上げ規模によって金額は変わりますが、それだけ出して「費用対効果あるの?」という議論が毎年出る。7年間、ずっとそれの繰り返しでした。

結論を言うと、JBPは大手メーカー向けのプログラムで、中小規模のブランドには投資対効果が出にくいと思っています。

理由はシンプルです。JBPで使える販促メニューや広告施策は、ある程度の予算規模があって初めて効果が出るものが多い。数十億円の売上規模があれば施策の投資対効果が出やすい。でも数千万円規模だと、JBPのリソースを使いきれないまま費用だけ払っている状態になりやすい。

あと、専任担当者のサポートの密度は、正直、契約規模に比例します。大口のパートナーには担当者が積極的に動いてくれる。規模が小さいと、担当者との関係は薄くなりがちです。これは仕方ないと思いつつ、現実としてそういうものでした。

JBPの大変さは、Amazonとメーカーで売上・利益を公開しながら協力関係を結ぶため、計画に達成しない場合はメーカーが負担を強いられることです。Amazon側の売上・利益、どちらも達成するのは難しいです。

売り上げを伸ばそうとすると、ビッグディールでの投資が必要になる。ここで問題になるのはプライスマッチ。プライスマッチ先はバイヤーにしか具体的にはわかりませんが、大体の場合はAmazonセラー、楽天、アスクル、ヨドバシカメラです。ビッグディールの価格をウォッチされて他プラットフォームの価格が下がる。そうするとAmazonの価格がプライスマッチして自動で下がります。

価格が下がるとAmazon側の利益が下がります。NET PPMとAmazon側で呼んでいるものです。これが下がると、Amazon側からは是正を求められます。対応方法はプライスマッチ先の価格を上げるか、リベートを支払うかのどちらかです。

JBPを活かすために必要なこと

担当者に任せきりにするだけでは、JBPは機能しません。ぼくが実感したのは3つです。

Amazon内部の資料を読む力。担当者からいろんなデータや資料が届きます。それを読んで施策に落とし込む力がないと、情報が積まれるだけで終わります。最初のうちは本当にそうなりかけた。

広告・販促の基礎知識。JBPで使える施策メニューを活用するには、Amazon広告の知識が前提です。何も分からないまま「担当者に言われたことをやる」だけだと、投資判断ができない。

社内を動かす力。JBPの施策には予算が必要です。申請して承認を取って、タイムラインで動かす。この社内調整が意外と体力を使います。良い施策のアイデアがあっても、予算が通らないと何もできない。


JBP経験は転職でどう使えるか

JBP運用経験を面接で話すと、面接官の反応が変わります。

通常のAmazon運用経験者は増えています。でもJBPまで経験している人材は少ない。特にメーカーEC担当者じゃないと、そもそも知らない方も多い。「ベンダーセントラル・セラーセントラル両方経験あり、JBP運用7年」という組み合わせは、ぼくの経験上、面接でかなり話が弾む経歴です。

ただ、「参加していた」だけを言っても弱い。「こういう施策を打って、こういう結果になった」まで語れると評価が全然違います。JBPを通じて広告・販促の技術が上がったという話は、EC・マーケティング人材としての成長の証拠になるので、具体的なエピソードを準備しておくといいです。

特に、Amazon営業担当、バイヤーと協力した内容を話すと、経験話に奥行きが出て興味を持ってもらえますよ。


まとめ:JBPは「大手向け・中小には過剰投資になりやすい」

項目内容
向いている企業規模大手メーカー・大口ブランド
主なメリット専任担当・販促メニュー拡充・データ取得
注意点中小規模では投資対効果が出にくい
運用に必要なスキル広告知識・データ分析・社内調整力
転職市場での価値Amazonの深度を示す経歴になる

JBP含めてAmazon・EC全般の経験を転職でどう活かすかは、こちらを参考にしてください。

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この記事を書いた人

EC転職野郎

EC転職野郎プロフィール画像

EC・DtoC歴10年以上。アパレル・消費財メーカーで、自社ECの立ち上げ・改修から楽天・Amazon・Yahoo!などモール多店舗運営、新規DtoCブランドの立ち上げまで現場で担当。1社目はアパレルメーカー。店舗スタッフから店長・エリアマネージャー・MDを経て通販事業部シニアマネージャー。その後、2社目では消費財メーカー(食品)でDtoC新規事業のブランドリーダーとしてO2O施策を牽引。自社EC、Amazon、楽天、アスクルなどをマネージャーとして運用管理。3社目では再びアパレル企業に。EC・広報を含むデジタル周辺の事業をマネージャーとして担当。

自分の転職だけではなく、採用を自ら行なっていた経験も含め書きます。

社名は伏せていますが、現場で詰まったことや判断の中身は、できるだけリアルに書きます。

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