アパレルの店舗に立っていたとき、ECをやるとは思っていませんでした。
レジ打って、接客して、閉店後に棚卸して。そういう仕事をしていた人間が、気づいたら8時間パソコンの前でEC管理画面やGoogle Analyticsを眺めている。キャリアってよく分からないもんだなと思いつつ、転職活動を始めてから気づいたことがあります。
その「店舗にいた時間」が、意外と評価されるということです。
EC担当者の市場価値を決めるのはデジタルスキルだけじゃない
EC担当者の武器といえば、広告運用・SEO・データ分析・システム知識。確かにそれは重要です。でも転職活動をして分かったのは、採用企業が一番欲しがっているのはそこじゃないということでした。
評価されるのは「オンラインとオフラインの両方を分かっている人材」。
ECのみでキャリアを積んできた人は多い。店舗からECに移ってきた人は少ない。採用企業が本当に欲しいのは後者です。
なぜかというと、EC事業を動かすには「エンドユーザーの購買行動」への感覚が必要で、それを一番持っているのは、実際にお客さんと向き合ってきた人間だからです。数字から仮説を立てるのと、「このお客さんはここで迷っているはずだ」という体感から動けるのは、全然違う。
店舗経験がECで活きる、具体的な場面
広告・ページ改善
接客をしていると、お客さんがどこで迷うかが分かります。どの言葉に反応して、どの説明で顔が曇るか。この感覚がそのまま、広告コピーや商品説明文の改善に使えます。
商品のメリットを伝える力を一番持っているのは、実際に接客で鍛えてきた人間です。ぼくはそう思っています。
CRM・メルマガ設計
アパレルの店舗では、会員登録のトークスクリプトから購入後のサンキューDM、LINE登録の声がけまで、お客さんとのやり取りを継続してやっています。これがそのままCRM設計の感覚になる。どのタイミングでどんなメッセージを送ると響くか、体で知っているわけです。
バックエンド理解
在庫管理・棚卸・発注・物流。店舗の現場では全部やります。この経験がECのバックエンド(在庫管理・出荷・基幹システム)の理解につながる。フロント施策だけじゃなくバックエンドまで分かる人材は、マネージャー候補として見てもらいやすい。
ぼくはこれまで50人以上EC採用の面接をしてきたけど、バックエンド業務を実際にやったことがある人は少ないです。小規模事業だと、そもそもインストアコードを発番しているような規模の倉庫でなかったり、委託していたりします。大規模事業だと倉庫は別部署で担当していて、研修時にしか倉庫に行ったことがない人もいます。
転職活動でどう使うか
ポジショニングは明確です。「デジタルのスキルを持った店舗経験者」として自分を定義する。デジタル専門家との正面対決じゃなくて、「オンオフ両方を分かっている人材」という独自のポジションを取る。
面接では、店舗時代のエピソードを積極的に話してください。EC担当者の面接でも、この話は刺さります。ぼくが10社以上受けて実感したのはそこでした。
どのエージェントに話せばこういう経歴が活きるか、ここに整理してあります。→ EC・DtoC担当者の転職でおすすめのエージェント比較|10年現場で見た選び方→ EC・DtoC担当者の転職でおすすめのエージェント比較|10年現場で見た選び方
この記事を書いた人
EC転職野郎

EC・DtoC歴10年以上。アパレル・消費財メーカーで、自社ECの立ち上げ・改修から楽天・Amazon・Yahoo!などモール多店舗運営、新規DtoCブランドの立ち上げまで現場で担当。1社目はアパレルメーカー。店舗スタッフから店長・エリアマネージャー・MDを経て通販事業部シニアマネージャー。その後、2社目では消費財メーカー(食品)でDtoC新規事業のブランドリーダーとしてO2O施策を牽引。自社EC、Amazon、楽天、アスクルなどをマネージャーとして運用管理。3社目では再びアパレル企業に。EC・広報を含むデジタル周辺の事業をマネージャーとして担当。
自分の転職だけではなく、採用を自ら行なっていた経験も含め書きます。
社名は伏せていますが、現場で詰まったことや判断の中身は、できるだけリアルに書きます。


