アパレルの販売員・店長の年収は、業界全体として低い傾向があります。経験を積んでも年収が上がりにくい、というのがアパレル業界の現実です。
EC担当者への転職は、この年収の壁を突破するひとつの現実的な方法です。この記事では、アパレルからEC転職で実際に年収を100万円以上アップさせた経験から、その方法を解説します。
アパレル業界の年収の現実
アパレル販売員・店長の年収は、概ね以下のレンジになることが多いです。私は自分自身や他者のアパレルマネージャー、人事と交流する中で、概ねこのくらいの金額だと考えています。ファーストリテーリングさんは700万スタートだったりと次元が違いますし、必要な能力も全く異なるので、一旦除外して考えています。
| ポジション | 年収レンジ |
|---|---|
| 販売員・スタッフ | 250〜350万円 |
| 店長 | 350〜450万円 |
| エリアマネージャー | 400〜550万円 |
| 本部スタッフ | 400〜600万円 |
経験を積んでも年収の上昇が緩やかで、役職がついても600万円を超えにくい。これがアパレル業界の年収の天井です。
EC転職で年収が上がる理由
EC人材の需要が供給を上回っている
EC担当者への需要は高まっています。自社EC・DtoCへの投資を増やす企業が増える一方で、EC運営の経験者・スキルを持つ人材が不足しているからです。
私は今現在も自分の部署で新規採用を募集しています。そこでビズリーチ営業と話すと、EC人材のうち、20-30代が少ないと聞いています。また、実際に採用しようとしても、競争が高く、採用できません。数年前よりも採用コスト20%くらい上がっている印象です。
需要が供給を上回っている市場では、人材の価値が上がります。アパレル業界とは逆の構造です。
デジタルスキルへの報酬が高い
日本企業全体の傾向として、デジタル・IT系のスキルを持つ人材への報酬水準は、小売・アパレルより高い。同じ「ECを管理する仕事」でも、IT・化粧品・サービス系の企業に転職することで年収レンジが上がります。
同じECでも食品や消費財、アパレルはそこまで大きな年収へのインパクトが少ないです。利益率が高い商品は高年収なので、そこは仕方がないところだと思います。
ただ、営業担当よりもEC担当は社内で転換できる人数が少ないため、営業から営業への転職よりも年収を上げやすいですよ。
マネージャーポジションが狙える
アパレルで店長・エリアマネージャーを経験していると、EC転職でも管理職ポジションを狙えます。EC担当者(年収300〜500万円)ではなくECマネージャー・責任者(年収500〜700万円以上)で採用されることで、年収が大きく上がります。
もちろん、まったく経験がないとマネージャーポジションは難しいので、EC事業やマーケティング部署の経験は必須です。メーカーEC、小売ECはEC単体での部署ではなく、マーケティング部署の傘下にあることも多くあります。その場合は、マーケティング人材として入社し、ECは運用担当者とともに運用する、ということができます。
転職で年収が100万円以上アップした実体験
転職前の状況
私はアパレルメーカーで店長・エリアマネージャーを経験後、EC事業部に異動してシニアマネージャーを務めていました。当時の年収は500〜600万円でした。
業務内容・経験値から考えると、市場価値に対して低い年収だとは感じていませんでした。ただ、「この会社でこれ以上年収が大きく上がる見込みが薄い」という実感はありました。
転職を決めたきっかけ
転職を決めたのは年収だけが目的ではありませんでした。他の商材のECをやりたい・より経営に近いポジションで裁量を持ちたい、という動機でした。また、当時、自部署の中に自分よりもECに詳しいメンバーがいなくなり、成長したいけど社外に出ないと学べない、という状況でもありました。
転職活動を通じて自分の市場価値を客観的に確認したとき、「アパレルでの現職より高い評価が出るケースがある」と気づきました。
転職後の年収変化
消費財メーカーのDtoC新規事業に転職後、年収が700万円超になりました。転職で100万円以上アップした計算です。
100万円以上アップした理由は、オンラインとオフライン両方の経験が珍しかったからです。アパレルの店長・エリアマネージャーとして実店舗を10年近く経験し、その後ECに移ってきた人材は市場に少ない。採用企業から見ると「オンオフ両方を分かっている人材」として評価され、それが年収に反映されました。
年収交渉で意識したこと
転職活動での年収交渉で意識したのは、希望年収を低く提示しないことです。
エージェントから「希望年収はいくらですか」と聞かれたとき、「御社の規定に従います」という答えは損をします。現職の年収・自分の市場価値の相場感を把握した上で、具体的な数字を提示することが重要です。
ビズリーチやミイダスで市場価値を確認してから交渉に臨んだことで、年収の下限を意識しながら話を進められました。
EC転職で年収を上げるための3つのポイント
①まず市場価値を数字で確認する
転職活動を始める前に、自分の市場価値を客観的に確認することが第一歩です。
ミイダス:登録するだけで、自分の経験・スキルに基づく想定年収を算出してくれます。アパレル経験者は「思ったより高い」という数字が出ることがあります。まず現実を数字で知ることが重要です。
ビズリーチ:プロフィールを登録するだけで、企業やエージェントからスカウトが届きます。どんなポジション・年収でオファーが来るかで、市場での評価が分かります。
②マネジメント経験を前面に出す
店長・エリアマネージャー経験がある場合、EC担当者ではなくECマネージャー・責任者ポジションを狙うことが年収アップの近道です。
担当者レベルの年収は300〜500万円ですが、マネージャークラスは500〜700万円以上になります。同じEC転職でも、狙うポジションで年収レンジが大きく変わります。
面接では「スタッフを何人管理した」「目標設定と評価をどうやった」「業績が悪い店舗をどう立て直したか」という具体的なエピソードを準備してください。マネジメント経験の具体性が、マネージャーポジションでの採用につながります。
③業界を選ぶ
転職先の業界によって年収レンジが変わります。同じECマネージャーでも、アパレル系より以下の業界の方が年収水準が高い傾向があります。
- IT・SaaS系EC
- 消費財・食品・飲料系DtoC
- 化粧品・美容系EC
- 医療・ヘルスケア系EC
アパレルの商品知識・トレンド感覚が活きるファッションEC以外にも、「エンドユーザー理解の力」「マネジメント経験」があれば幅広い業界のEC職に応募できます。
④エージェントを複数使う
EC転職でよくある失敗は、1社のエージェントだけに相談して視野が狭くなることです。
エージェントによって保有する求人・提示できる年収レンジが違います。特にハイクラス系(ビズリーチ・JACリクルートメント)と総合大手(doda・マイナビ)を併用することで、より多くの選択肢から最適な求人を探せます。
アパレルからEC転職で年収を上げる際の注意点
転職直後は年収が下がることもある
立ち上げフェーズの新規事業・スタートアップへの転職では、年収が下がるケースがあります。基本給が低くてもストックオプション・賞与で上乗せされる場合もありますが、固定給を重視するなら注意が必要です。
EC未経験を理由に年収を下げられるケースがある
「EC業務が未経験だから」という理由で、本来より低い年収を提示される場合があります。この場合、アパレルでの管理職経験・マネジメント実績を根拠に交渉することが重要です。
EC業務は入社後に習得できますが、マネジメント経験は簡単には得られません。自分の強みを正確に伝えることで、適切な年収を主張できます。
事業フェーズを確認する
新規事業の立ち上げフェーズは、スピードが速く業務範囲が広い。EC担当として入社したのに、全然違う業務を任されることもあります。年収だけでなく、業務内容・事業フェーズを確認した上で判断することが重要です。
私がまさにそうですね。2社目で最初の半年はカフェの新規出店と店長・エリアマネージャーをしてました。
よくある質問
できます。EC業務の知識はゼロからでも習得できます。むしろアパレル販売員のエンドユーザー理解・商品知識は、EC担当者として高く評価されるケースがあります。
30代後半〜40代でも転職できます。特にマネジメント経験がある場合は、EC責任者・マネージャーポジションでの需要があります。
一般的に3〜6ヶ月が目安です。エージェントに登録して求人を探し、書類選考・面接を経て内定というフローです。
アパレルからEC転職で年収を上げたいなら、まずエージェントに相談して現在の市場価値を確認することが第一歩です。
→ EC・DtoC担当者の転職でおすすめのエージェント比較|10年現場で見た選び方
この記事を書いた人
EC転職野郎
EC・DtoC歴10年以上。アパレル・消費財メーカーで、自社ECの立ち上げ・改修から楽天・Amazon・Yahoo!などモール多店舗運営、新規DtoCブランドの立ち上げまで現場で担当。店長・エリアマネージャーを経て通販事業部シニアマネージャー、その後消費財メーカーでDtoC新規事業のチームリーダー・ECプロモーションチーム担当課長。
社名は伏せていますが、現場で詰まったことや判断の中身は、できるだけリアルに書きます。



コメント