楽天・Amazon・Yahoo!・auPAYを同時運用して分かった違い|現場の本音

EC・DtoC実務ノウハウ

楽天・Amazon(ベンダーセントラル・セラーセントラル)・Yahoo!ショッピング・auPAYマーケット・ZOZO・FARFETCHを同時に運用していた経験から、各プラットフォームの本当の違いを書きます。

スペック比較や公式の説明ではなく、実際に運用して初めて分かったことだけを書きます。


結論:プラットフォームごとにユーザーの購買動機が全然違う

多店舗運営をやって最初に気づくのは、同じ商品を出しても売れ方がプラットフォームごとに全く違うという事実です。

「全モールに同じように力を入れるべき」という考えは間違いです。各プラットフォームのユーザーの購買動機を理解して、リソースを集中させる場所を決める。これが多店舗運営の本質です。


Amazon:独自ルールの塊・サポートは自力解決が前提

ベンダーセントラルとセラーセントラルは別物

Amazonはベンダーセントラル(メーカー・卸がAmazonに卸す形式)とセラーセントラル(自社でAmazonに出品する形式)の両方を経験しました。

UIも管理方法も全く異なります。片方の経験があってももう片方にそのまま使えるスキルは少ない。それくらい別物です。

商品登録は独自ルールが多い

Amazonの商品登録は他のモールと比べて独自のルールが多く、慣れるまでに時間がかかります。カテゴリーごとに必須項目が違い、表現のNG規定も細かい。楽天やYahoo!で通用する登録方法がそのまま使えないケースが頻繁に発生します。

サポート(ケース)の実態

Amazonのサポートは「ケース」と呼ばれる問い合わせシステムを使います。管理画面からケースを起票して問い合わせる形式です。

このケースの回答が的外れなことが多い。「そこじゃない」という回答が返ってきて、何往復もしないと本題にたどり着かない。さらに厄介なのが、3日間返信しないとケースが自動で閉じられる仕様です。

少し調べたり社内確認したりしている間に3日経つと、ケースが強制終了して最初からやり直しになる。エラーの原因を調査している最中にケースが消えたときは、さすがに心が折れました。

Amazonのサポートは「自分で解決できる人向け」に設計されています。ヘルプドキュメントの量は膨大ですが、ピンポイントで欲しい情報に辿り着くには慣れが必要で、慣れるまでに相当な時間を取られます。

Amazonで重要なこと

売上規模は全モールの中でも大きい。ただし、独自ルールとサポートの癖を理解するまでの学習コストが高い。担当者には「自力で調べて解決できる人」が向いています。


楽天:売上は大きいがスーパーセール依存が構造的な問題

売上規模は最大級

楽天は運用開始時点で自社ECに匹敵するほどの売上規模がありました。モールの中では最大の基盤です。

スーパーセール依存から抜け出せない

売上の中身を見ると、楽天スーパーセールとお買い物マラソンへの依存度が非常に高い。四半期ごとにセールの山があり、その期間に売上が集中する構造になりやすい。

セール前には在庫を積み増す必要があり、読みを外すと不良在庫になる。このサイクルを年4回回し続けるプレッシャーは、やってみないと分からない重さがあります。

価格ハレーションの壁

百貨店や販売代理店でも展開しているブランドは、基本的に値引き販売ができません。楽天でセール価格をつけると、百貨店側や代理店からハレーションが起きる。「ECだけ安くするのか」という話になるからです。

この問題をどう解決したか。答えはアウトレット品でした。会社の倉庫に眠っているアウトレット商品を自分で取りに行って、それをセール品として出す。正規品の価格は守りながら、セールの波に乗るための苦肉の策です。

華やかに見えるEC運営の裏側で、こういう泥臭い動きが普通に発生します。

楽天で重要なこと

売上は大きいが、スーパーセール依存の構造を理解した上で年間計画を立てる必要があります。在庫管理と価格設計を、他のチャネルと連動して考えることが必須です。


auPAYマーケット:何をやっても売れない現実

クーポンを打っても、ページを改善しても、広告を入れても、数字がほとんど動きませんでした。

結論として分かったのは、auPAYマーケットは安い商材でないと機能しないプラットフォームだということです。ユーザーの購買動機が「安さ・ポイント還元」に寄っているため、単価が高い商品をどれだけ丁寧に見せても、そもそも買う気で来ていない。

auPAYに使うリソースを楽天やAmazonに集中させたほうが、売上インパクトは明らかに大きかった。プラットフォームを選ぶときは、自分の商材の価格帯とユーザーの購買動機が合っているかを確認することが重要です。


Yahoo!ショッピング:楽天の補完として割り切る

Yahoo!ショッピングも運用しましたが、楽天と比べると売上インパクトは小さく、運用上の特徴も際立った印象がありませんでした。

リソースが限られているなら、楽天とAmazonに集中して、Yahoo!は最低限の維持管理にとどめるのが現実的な判断です。


ZOZO:プラットフォームではなく「文化」だった

ZOZOTOWNへの出店は前澤さんが代表だった時代の話です。

打ち合わせで青山のオフィスに行くと、入口に来客用の自販機が置いてある。黒塗りの自販機でスタイリッシュでした。社員のみなさんは全員オシャレで、オフィス全体から「最先端のファッションECをやっている」という空気が漂っていました。

一方、自分たちの会社はどうかというと、お客さんが来たらお茶を紙コップに入れて出すような、昭和の商習慣がまだ普通に残っていました。

この対比が衝撃でした。ECはシステムや数字の話だけではなく、会社のカルチャーや時代感覚そのものが出る。自社のEC改革を進めながら、「自分たちはどういう会社になりたいのか」を突きつけられた感覚が今でも残っています。


各プラットフォームの特性まとめ

プラットフォーム売上規模難易度向いている商材注意点
Amazon幅広い独自ルール・ケースの癖
楽天幅広いセール依存・価格ハレーション
Yahoo!ショッピング幅広い楽天の補完として割り切る
auPAY安い商材のみ高単価商材は効果薄
ZOZOブランドによるアパレル・ファッションブランドイメージ管理が重要

多店舗運営で最も重要な考え方

全モールに均等にリソースを投入するのは間違いです。

まず自分の商材の価格帯・ブランドポジション・ターゲット層を整理する。その上で、どのプラットフォームのユーザー特性と合っているかを判断する。合っていないプラットフォームへのリソース投入は、費用対効果が極めて低くなります。

この「プラットフォームの特性とリソース配分」を判断できる人材は、EC運営のマネージャーとして高く評価されます。転職面接でも「なぜそのモールに注力したのか」という判断の根拠を語れると、一気に評価が上がります。

EC・DtoC経験者の転職については、こちらの記事も参考にしてください。

→ EC・DtoC担当者の転職でおすすめのエージェント比較|10年現場で見た選び方



この記事を書いた人

EC転職野郎

EC・DtoC歴10年以上。アパレル・消費財メーカーで、自社ECの立ち上げ・改修から楽天・Amazon・Yahoo!などモール多店舗運営、新規DtoCブランドの立ち上げまで現場で担当。店長・エリアマネージャーを経て通販事業部シニアマネージャー、その後消費財メーカーでDtoC新規事業のチームリーダー・ECプロモーションチーム担当課長。

社名は伏せていますが、現場で詰まったことや判断の中身は、できるだけリアルに書きます。

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