ぼくは転職する時、転職サイトのカテゴリでECのキーワードを探したんですけど、ピッタリのキーワードがなかったんですよ。
ECって、会社によって営業部直下にあることもあるし、マーケティング部直下にあることもある。転職サイトのカテゴリだと探しにくいから検索キーワードで直接検索するしかない。ただ、唯一、ECマーケティング担当者っていうキーワードは多くの転職サイトでも使われてるんですよね。
うーん・・・「ECマーケティング担当」って何?
結局何をする仕事なのか掴みきれなかった人は多いと思う。ぼくも最初は同じだった。EC運営の現場に10年以上いて、途中からこの肩書きを名乗ることも増えたけど、正直「ECマーケティング」という言葉自体は、実務でバラバラだった業務を後からひとつにまとめたラベルにすぎない。
この記事では、その中身を分解して、実際に何をする仕事なのか、未経験からどう近づけばいいのかを整理する。
「ECマーケティング」は1つの職種ではない
求人票を横断的に見ると分かるが、「ECマーケティング担当」という同じ肩書きの下でも、会社によって求められる業務がかなり違う。ある会社では広告運用がメインで、別の会社ではSNSと画像制作が中心、また別の会社ではCRMとメルマガ配信が主業務だったりする。これは会社の規模や体制によって、EC運営の中のどの部分を「マーケティング」として切り出しているかが違うからだ。
ぼくの経験でも、複数モールの運営を担当していた時期は商品登録や在庫管理まで含めて「EC担当」と呼ばれていたし、自社ECのCRM施策を中心に動いていた時期は「マーケティング担当」と呼ばれていた。同じ人間が同じ会社にいても、任される業務の重心が変わるだけで呼び方が変わる。だからこそ、求人を見るときは肩書きより先に、業務内容の箇条書き部分を必ず確認したほうがいい。
EC運営全般との違い
「EC担当者」と「ECマーケティング担当」の境界は会社によって曖昧だが、大まかな傾向として次のように整理できる。
| EC運営全般(EC担当者) | ECマーケティング担当 | |
|---|---|---|
| 業務範囲 | 商品登録・在庫管理・受注処理まで含む広い範囲 | 集客・顧客接点に関わる業務に比較的絞られる |
| 数字の見方 | 売上・在庫・出荷状況など運営全体の数字 | 広告効果・CVR・開封率など集客・接点の数字 |
| 向いている人 | 広く浅く運営全体に関わりたい人 | 特定の分野を深めたい人 |
| 関連記事 | 未経験からEC業界へ転職したいと思ったら最初に読む話 | このページ(5分野の分解) |
どちらが優れているという話ではなく、自分がどちらのタイプかを先に把握しておくと、求人選びで迷いにくくなる。
ECマーケティングを構成する5つの業務
ぼくが見てきた求人票と実務経験をもとに分解すると、「ECマーケティング」という言葉の中身は、だいたい次の5つに分かれる。求人を見るときも、自分がどれに強いのか・どれをやりたいのかを先に整理しておくと、ミスマッチが減る。
①EC広告運用
楽天・Amazon・Yahoo!などモール内の広告や、Meta広告・Google広告を使って集客する業務。予算配分と効果測定を繰り返しながら、広告費に対してどれだけ売上が返ってきたかを見る、数字と向き合う仕事だ。5分野の中でも、特に日々の数字管理の比重が大きい分野になる。
Meta広告・Google広告を運用できると、広告代理店への転職も期待できる。実際にこれまで会ったことがある広告代理店担当者には元メーカー・小売の広告担当者っていう方がいました。
→ EC広告運用の仕事内容と転職のポイント|未経験から任されるまでにやったこと
②SNS運用
Instagramなどでブランドの世界観を伝えながら、EC流入につなげる業務。投稿企画・撮影・キャプション作成に加えて、最近はUGCやアンバサダー施策の設計まで含むことが多い。5分野の中では、専任担当がいない会社でもEC担当者が兼任しやすい分野でもある。
ぼくの場合はSNS運用を業務に持ったのは3社目。1社目、2社目はECとは切り離していたから、全然別の担当者がやってたんだよね。やってみて思ったのは、SNSを運用して結果を出した人材は超貴重。代理店に依頼すると月50万円を超える高額な費用だから、年収を上げることができる。
→ EC担当者のSNS運用|未経験から任されるためにやること
③CRM・メルマガ・LINE運用
既存顧客に対してメルマガやLINE配信で再購入を促す業務。新規獲得より地味に見えるが、実は事業の利益率を大きく左右するポジションで、モール依存を減らすうえでも重要な役割になる。5分野の中では、地味だが経営視点で評価されやすい分野だと感じている。
→ EC・DtoCのCRM担当とは|メルマガ・LINE運用の実務
④ECサイトのSEO・CVR改善
自社ECサイトの検索流入を増やしたり、商品ページを改善して購入率を上げたりする業務。広告のように即効性はないが、長期的に見ると広告費に頼らない集客基盤を作れる分野だ。成果が出るまでに時間がかかる分、腰を据えて取り組める人に向いている。
⑤データ分析・KPI管理
売上・広告効果・CVRなどの数値を継続的に追い、施策の良し悪しを判断する業務。上の4つすべてに横断的に関わるので、実はECマーケティング担当としての土台になる部分でもある。この分野の考え方を理解しているかどうかで、他の4分野の成果の出し方も変わってくる。
→ EC担当者に必要なデータ分析スキル|Excel・GA4の使い方
未経験からのロードマップ全体感
| 段階 | やること |
|---|---|
| ①興味のある分野を絞る | 5分野のうち、自分が一番興味を持てる・向いていそうな分野を1〜2個に絞る |
| ②小さな実績を作る | 個人アカウントの運用、家計簿の分析、副業での簡単な業務など、小さくても手を動かした経験を作る |
| ③職務経歴書に落とし込む | 絞った分野に関連する経験を、職務経歴書の中で目立たせる形に整理する |
| ④面接で深掘りに備える | 「なぜその分野に興味があるのか」「数字を見て何を考えたか」を自分の言葉で話せるようにしておく |
5つ全部に詳しくなろうとする必要はない。むしろ、1つの分野で深掘りされたときに具体的に語れることのほうが、未経験の選考では評価されやすい。
未経験からECマーケティングに近づくには
5つのうちどれか1つでも、実務に近い経験や成果物があると、未経験からでも話が通りやすくなる。たとえば個人のInstagramアカウントを一定期間運用した経験、副業で他社のメルマガ文面を書いた経験、Excelで簡単な売上分析をした経験。どれも小さなことに見えるが、面接では「実際に手を動かした経験があるか」がまず見られる。
逆に、資格の有無を重視される場面はほとんど見たことがない。それより、5つの業務のうちどれに一番興味があるかを自分の言葉で説明できるかどうかのほうが、選考では重要になる。
そもそもEC業界全体の実務を先に理解しておきたい場合は、こちらの記事から読んでおくと全体像がつかみやすい。
EC運営全体とマーケティング寄りの仕事、どちらを目指すか
ここまで読んで「マーケティング寄りの業務のほうが自分に合いそうだ」と思った人もいれば、「やっぱり運営全体に関わりたい」と思った人もいるはずだ。どちらが正解ということはなく、広く浅く運営全体に関わりたいタイプか、特定の分野を深めたいタイプかで向き不向きが分かれる。EC運営そのものの大変さや向き不向きについては、こちらにまとめている。
→ 「ECサイト運営はやめとけ」と言われる理由|10年やって分かった”辞めるべきサイン”チェックリスト
よくある質問
- QECマーケティング担当とWebマーケティング担当は同じですか?
- A
重なる部分は多いですが、ECマーケティングはEC・自社通販という特定のチャネルに紐づく分、モールの仕様や在庫・受注データなど、EC特有の事情への理解が必要になる点が異なります。
- Q5つの分野のうち、未経験からもっとも挑戦しやすいのはどれですか?
- A
個人差はありますが、SNS運用とデータ分析は、個人でも小さく練習を始めやすい分野です。広告運用は基礎用語の理解から、CRM・SEOは考え方の理解から始めると入りやすいです。
- Q複数の分野を同時に経験することはできますか?
- A
中小規模の会社では、複数分野を兼任するケースが一般的です。むしろ専任で1分野だけを担当できる会社のほうが少数派です。
- QECマーケティング担当としてキャリアを積んだ先には何がありますか?
- A
複数分野を横断した経験は、EC・DtoC事業のマネジメント層や、外資系・グローバルブランドのEC責任者ポジションへのキャリアパスにつながりやすくなります。
まとめ
「ECマーケティング担当」は1つの決まった仕事ではなく、広告運用・SNS運用・CRM・SEO・データ分析という5つの業務の組み合わせで成り立っている。求人を見るときは肩書きより先に業務内容を確認し、自分がどの分野に興味があるかを整理しておくと、選考でも入社後のミスマッチでも損をしない。それぞれの詳しい実務内容は、上のリンクから読み進めてほしい。
転職活動そのものの進め方や、エージェントの使い分けについてはこちらも参考にしてほしい。
→ EC・DtoC担当者の転職でおすすめのエージェント比較|10年現場で見た選び方
この記事を書いた人
EC転職野郎

EC・DtoC歴10年以上。アパレル・消費財メーカーで、自社ECの立ち上げ・改修から楽天・Amazon・Yahoo!などモール多店舗運営、新規DtoCブランドの立ち上げまで現場で担当。1社目はアパレルメーカー。店舗スタッフから店長・エリアマネージャー・MDを経て通販事業部シニアマネージャー。その後、2社目では消費財メーカー(食品)でDtoC新規事業のブランドリーダーとしてO2O施策を牽引。自社EC、Amazon、楽天、アスクルなどをマネージャーとして運用管理。3社目では再びアパレル企業に。EC・広報を含むデジタル周辺の事業をマネージャーとして担当。
自分の転職だけではなく、採用を自ら行なっていた経験も含め書きます。
社名は伏せていますが、現場で詰まったことや判断の中身は、できるだけリアルに書きます。
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